2012/01/06

なぜ売上を上げたいのか?

今日は仕事で日本橋に仕入れに行ってきました。
せっかくお昼から東京に行くので、前の会社時代の先輩を誘って一緒にランチしてきました。

僕が入社した時に下についた先輩で、その後もずっと同じ仕事をしてきて、とても尊敬している先輩なわけです。

で、その先輩と仕事やプライベートの近況を話しているときに、だるまやの話になりました。
その話の中で僕が、「売上(利益)を上げたいんですけどねぇ」という一言を言ったら、「なんで上げたいの?」と聞かれたのです。
他の人に聞かれたのなら、「当然じゃん」で終わってしまうのですが、元々根源的な話をする先輩であり、そういう点が刺激的でもあるので、ふと立ち止まってその「当然のこと」を考え込んでしまいました。
その会話の中では、あまり上手い応えが出なかったのですが、それから日本橋に行く道中や帰りの道中でも考えたことを書いてみようと思います。

■なぜ売上(利益)を上げたいのか?

多分、今よりもっと良い生活がしたいってことではないと思うんです。
もっと良い車に乗りたいとか、もっと良い家に住みたいとかそういう欲求ってあまりなくて。
多分生まれた時から家があって車があって、という状況だったからだとは思うんです。
親父やばあちゃんの世代の人からしたら恵まれすぎてるってことなんでしょうけどね。
もちろん、僕は食べることが大好きなので、美味しいものは食べたいんですけど、そのために利益を向上させたいかというと、うーん、ちょっと違うかなぁという気がします。


ということで、これかな〜ということを順番に。
論理的に考えていないので、支離滅裂になりそうですし、論理的でもないと思うのですが、想いは伝わってほしいな、と。


・売上というのはお客さんをどれだけ満足させられたか、だから
売上(利益)というのは、お客さんをどれだけ満足させたかということの一つの指標だとは思う。
売上を上げて自分が良い思いをしたいというよりは、この仕事を生業として選んだ以上、お客さんにもっと満足してもらいたい。
だるまやがあって良かったとか、きものを着ることで人生が楽しくなったと思う人が一人でも多く、一人の中でももっとたくさん満足してもらいたい。
お客さんに満足してもらうことを積み上げていった結果として売上(利益)が上がるのだと思う。
もっとお客さんに喜んでもらうには?と考えることと、売上を上げるには?と考えることは同じ目標に向かうちょっと違う視点なんじゃないだろうか。
どちらも必要なことだと思うのです。

大好きなミスチルの櫻井さんは、かなり売れた後(多分名もなき詩とか終わりなき旅の後くらい)に自分の好きな音楽を作る時期を経た後のインタビューで、「もう一度、売れる曲を創るということを考えたい」と言っていたのですが、ちょっとそれに近い感覚もあります。
アーティストなら売れる売れないは別として良いものを創るという道はアリかもしれない。
でも、(職人が本質だといえ)商人でもある以上、売上を目標にしないわけにはいかないんだと思う。

話はそれますが、僕が最も思っていることは、うちを慕ってくれているお客さんに最も良い仕事や商品を提供したいということだったりします。
古いお客さんの中には、例えばうちが良い仕事が出来なかったときでも、そのことを踏まえつつ「やっぱりだるまやさんだから」という形で来てくれる人が結構いるんです。

僕も大好きな居酒屋さんでちょっと不満な点があったとしても、まぁそういう日もあるさと思って懲りずにまた行くのです。

そういうお客さんに、うち以外のお店だったらもっと良い想いができたのにという結果だけは残したくない。
例えばそのお客さんがきもの仲間に誘われて、完全にうちより上のお店があったとしたら、「もっと早く知っていれば」と思うと思うのです。
そういう想いは絶対抱かせたくないんですよねぇ。
もちろん、うちだけですべてのきもの好きのニーズを満たせるなんて思っていませんし、例えば商品数で言えばデパートの呉服屋さんとか、都内のこだわりの強いお店に現時点で勝てないことは分かっています。
それは分かっている上ででもやっぱり、きもの生活のパートナーとして、だるまやを選んでくれたお客さんに絶対後悔させたくないのです。
だから、うちの根本である洗い張りは僕も親父も絶対他のお店に負けないと思って仕事をしていますし、売っている商品にしても、なるべく他のお店にはない商品を揃えたいし、同じ商品なら絶対他より安く提供したいのです。
僕の中では今はまだ発展途上ですが、明日は来月は来年は今よりもう少し良くなっていたいと思う。


・売上を上げることを辞めるという選択肢はありえないから
上の話と少しかぶるのですが、売上(利益)を上げることを諦めるということは、衰退と同じことだと思っています。
頑張って売上(利益)を上げようとしてようやく現状維持できるんだと思う。
親父が頑張ってきた暖簾を守るということは、親父と同じやり方をするということだけではなく、僕の味を足していくことなのだと思う。
売上を伸ばすことを諦めたとたん、気づけば暖簾の価値は下がっているものなんだと思っています。


・スポーツ感覚で、きもの産業という競技の中で一番になりたいから
例えば柔道で金メダルを目指している人に、なぜ金メダルが取りたいのかと聞いたら、やっぱり一番になりたいってことを言うんじゃないかなと思うんですよ。言い方はどうあれ。
僕は会社を辞めてだるまやをやると決めたときに、やっぱり一番になりたいと思いましたし、今でも思っています。
きもの産業と一言で言っても異種格闘技ではありますけど、ここだけは負けたくないという面はもちろんあります。
売上というのは、きもの産業という分野でのトロフィーのようなものだとも思うのです。
売上を伸ばすことを諦めるということは、柔道家が現役を退くということに近くて、それはもちろん訪れることなんですけど、現にうちの親父は僕が新しいこと始めたいというような話をすると、「もうそんなに売上伸ばそうとしなくてもいいんじゃないか」みたいなことは言うんですけど、でも、それは僕が思っちゃだめなんですよ、多分。
やっぱりトロフィー目指さないと。
金メダル取りたいと思ってないと現役選手としてはだめでしょうと思うんですね。


・だるまやの暖簾を継続させるための保険
これは如何ともし難いですね。
きもの産業が今後また一時的に氷河期になったとしても、それを乗りきれるだけの体力は残さなきゃいけない。
僕は僕の次の世代にいい形でお店を残しておきたいと思っているので、そのための手段としてある程度の利益を上げてお店の体力は付けておきたいとは思っています。


あー、こういう話って書きたいけど、よっぽどじゃないと書けないなぁ。。。
いや、ほんとにですね、僕は自分の考え方とか書きたくないんですよ。。
でもそうすると、当たり障りの無いブログになっちゃうし、どっかで書きたい欲求がボカーンとなることがありまして、今日は書いちゃえーと思って書いちゃいました。



さて、今でも丁稚気分満載な僕も、3月で30歳になります。
20代最後の3ヶ月。その間に今思っている商売に対する思いとか、自分が考えてきたことをまとめておきたいと思っているので、時々今回のような話を書くと思いますが、目に虫が入ったと思って流し読みしていただけると幸いです。


明日、1月6日から今年の営業スタートです。
頑張らねば!

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