2015/04/19

本の感想を 〜イギリス人アナリスト日本の国宝を守る〜

久しぶりに本の感想を書こう。

藻谷浩介さんがBSフジ プライムニュースで共演していた、デービッドアトキンソンという方の話を聞いて、「この人面白い!」と思い、本出しているなら読みたいと思ってさっそくAmazonで買って読んだのがこの本です。

イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言

著者のデービッドアトキンソンさんは、ゴールドマン・サックスでアナリストをされていた後、いろいろあって今は日本の文化財(神社や寺など)の修復作業をしている会社の社長になられたそうです。

本書内での主張で、僕なりに印象に残っている点をまとめると、こんな感じです。

・日本の「おもてなし」は、供給側の都合が優先されることが多い

・日本のGDPに占める観光業の割合は、2%と先進国の中でもアジアの中でもそうとう低い(世界平均は9%)。日本に来る外国人観光客はアジアの中でも最下位レベル。

・観光業は成長産業であり、観光業を伸ばすには文化財の修復に予算を回すべき
 (現状、フランスやイギリスに比べて圧倒的に少ない)


まず、日本のおもてなしについてですが、これは僕も結構共感してしまった。

本書の中では、著者が高級旅館に外国から来た友人と宿泊する際に、チェックイン開始時間(15時)より早く旅館に着いてしまった際に、頑なに部屋に入れてもらえなかった話が出てきます。
前のお客さんもチェックアウトされているし、部屋の清掃もできているらしい。なのに入れてくれない、と。
友人のために一流旅館を予約した著者としては、この対応に困り果てたという話でした。
その後その旅館に併設されているレストランからも、「宿泊者以外はご利用いただけません」と断られたというおまけ付きだったらしく。
著者いわく、日本の供給側の言う「できません」は「面倒なのでやりたくありません」が正しいのでは?と感じるそうです。

うちの近所のお店も開店数分前にお客さんが並んでいるんですよ。
真冬の寒い時にお客さんが並んで待っているのがかわいそうで、ちょっとそのお店で働いている方と話したときに「あれって、なんで入れてあげないの?」と聞いたことがあるのですが、要約すると「オーナーの意向」らしいです。

これが本当にイヤでですね。
その働いている方はとても感じが良い人なんですよ。
なんだけど、その人の判断では入れてあげられないという。。。

翻って僕としてもいろいろと改善しなきゃいけない点はあります。
小さいことですけど、お客様に荷物を郵送する際に、箱を包装紙で包むんですけど、箱にガムテープで包装紙を止めてたんですね。
お客さんから「せっかく良い箱なのに、開けるときにガムテープをはがすとビリッとなっちゃう」と言われまして。
ふと、ガムテープで固定したほうが包装紙は綺麗に包めるんだけど、お客さんからしたらそんなことより、包装紙を開けた後に箱が綺麗で再利用できる事のほうが嬉しいよなと思ったのです。
それ以来なるべくガムテープを箱に直接貼らないようにしました。

普段無意識に作業していることでも、それが「お客様のため」なのか、それとも「お店側の都合」なのかは、少し引いて考えてみる必要があると思うのです。

その延長線上で、今だるまやとして見直そうとしている点があるのですが、それはおいおいということにして。。

次の日本のGDPに占める観光業の割合が世界に比べて著しく低いという点ですが、これは僕はチャンスだと思います。
(著者も「伸びしろ」だ言及していますが)

2つの意味で良いと思ったのは、

・日本の良さをアピールすることで観光業収入が増える
・現時点でまだ日本に来た方が少ないなら、今のうちに国内の外国人観光者向けサービスを改善してから呼び込める

という点です。
これから観光客を増やすことで売上が増えるよね!という当たり前のメリットもあるのですが、現時点で観光客が少ない(特にオーストラリア、ドイツなど旅行でお金をたくさん使う人たちが少ない)のは良いとも言えます。

なぜなら、現時点で満足してもらえるほどのサービスを提供できていないとすると、その段階で日本に来て「日本は旅行で行くには楽しくない!」と思われてしまったら、もう一度呼びこむのは難しくなってしまうからです。

これはお店でも一緒で、一度嫌な思いをさせてしまうと、もう一度来てもらうのは至難の業になってしまいます。
そういった意味で、まだ日本に来たことがない方が多いうちに、まずは外国人観光客から見て日本を旅行する上で不満な点を洗い出して改善した上で、対外的に大々的なキャンペーンを打って日本に来て楽しんでもらいリピーターになってもらうことが理想ですよね。

3つ目の観光産業として成長させるには、文化財の修復などに予算をつぎ込むべきだというのは、正直著者のポジショントークが大部分だと思います。
もちろん、僕は文化財の修復に予算を増やすことは賛成ですけどね。
日本は世界で有数の歴史的建造物が残っている国だというのは正しいのでしょうし、そうであったら嬉しいと思うことなので、なるべく長く貴重な文化財を遺していきたいと思います。
そのためにも、国として観光立国という目標を「外国人観光客の目線で」考え、一大産業にしていき、文化財の修復にも予算が回せ、そこで新たな雇用が生まれて日本の経済が上向いていくことができたら良いなと思います。

ってことで、後半はほとんど文化財修復しようぜ!っていう話に終始するのですが、読んで損はない、今まで日本国内にいて知らなかった外国人から見た日本の不思議(ミステリアスジャパニーズ)を知れるし、文化に限らず企業人の振る舞いなどの問題点も言及されていておすすめです。



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