2011/07/18

お客様は必ずしもきもののプロではない

今日とあるお客様がお見えになりまして、そのお客様とのやり取りの中でとても大事なことを学んだ気がしたので書いてみます。

そのお客様は最初、振袖の袖を短くしてほしいと言ってお見えになりました。
多くの場合、袖丈を短くするだけならば袖つめという仕事をします。
袖つめとは、袖の裾の方を切って、袖を短くすることです。
ですが、今回の振袖は柄が裾の方にまとまっていたので、袖は切らず、解いて洗い張りをして、袖だけ仕立て直そうかなと思ってお客様に説明をしていました。

ちょうどその話をしている時に親父登場。

で、僕が手短に経緯を説明して、袖直しをしようと思うという話をしたところ、「このきもの、なんで袖つめるの?」とお客様に質問。
「実は、娘が嫁に行くことになって、このきものを持たせようと思いまして。」とお客さん。
そうですか、といいながら寸法を測りつつ、その娘さんの身長と体格を聞いてだいたいの寸法を予想しつつ、「多分このきもの、娘さんにあっていないと思うよ。本当は本人に来てもらって寸法取り直した方がいいんだけど。」と話す親父。
「それに、この裾回し、真っ赤なのがついているんだけど、振袖ならこれでいいけど、袖を詰めて今後も着るなら色を変えた方がいいですよ。」と続ける。

お客さんも事情を聞いて、納得していただけたようで、また娘を連れてくるので品物だけ預かっておいてください、という話になりました。

そして今日の夜、この話を親父と飲みながらしながら、「お客さんに取って、自分が一番いいと思うことを提案すればいいんだよ。」というアドバイスをもらいました。

僕はこの仕事を始めてすぐの頃から、ずっとお客さんの方がきもののことに詳しいという状態が長かったので、どうしても「お客さんはいろいろと考えた上でお店に来る。」と思ってしまっています。
だから、自分があれこれ言うことはあまり望まれていない、というか、もう分かっていることだ、と思ってしまうところがあるのです。

いや、でも書いてて思いましたけど、実際はあれこれ言って拒否されるのが怖いだけなのかもしれない。うーむ。

実際には、きもののことはかなり専門的な知識が必要な分野ですし、すべてのお客さんがきものに詳しいわけではなく、自分の方がたくさんのことを知っていることが多いです。
(というか、そうなっていかないと存在意義が無い。。)

そんなことを思いながら、そういえば前に読んだ本にも同じようなことが書いてあったなぁとブログを検索してみたら、全く同じようなことが書いてあってビックリ。

進歩してないぞ!おれ!

佐藤昌弘さんの「凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク」、「売れる力学」を読んだ


−−− ここから引用 ーーー


とりあえずこの2冊の要点は、

「お客様の欲しがるものを売ってはいけない」

という一言に尽きます。

ただ、これはちょっと過激な言い方でして、もう少し丁寧に言うと、松下幸之助さんの言葉の、
「商売とは、お客様の"困ったこと"を解決してお金をもらうものだ」
という言葉になりますね。

その言葉の真意は、

・お客様はその商品の専門家ではないので、どの商品が一番自分に合うか、必ずしも分かっているわけではない
・お客様が求めている商品によって"満たされると思っているニーズ"に専門家として応えることが重要だ

ということです。

例えば、電機屋さんの店員がお客様にデジタルカメラのおすすめを聞かれたとする。
その場合、商品の紹介から入ってはいけない、と。
デジカメをほしいと思ったお客様の背景を聞くことからスタートすべきだ、という話ですね。

ニーズを掘り起こした結果、一番ふさわしいデジカメが見つかるかもしれない。
でももしかしたら、お客様のニーズを満たすには、デジカメではなく、デジタルビデオがふさわしいかもしれない。
もしくは、今お客様がお持ちのデジカメの使い方を教えてあげれば解決するかもしれない。

だるまやでも時々、「このきものを色かけしてほしいのですが、」とお持ちになるお客様がいらっしゃいます。
その時に、親父は必ず、「なんで?」と聞き返します。
聞いてみると、「いや、しみが気になるので。」とか、「私には派手かなと思って」などのニーズが出てきます。
その想いを聞いた上で、プロとして一番の解決策を提案することが仕事です。
時には、「いや、お客様が思っているほど派手ではないし、このままで十分着られますよ」とか、「これは色かけをせず、裾回しの色を変えれば十分着られますよ」とか、「これは確かに色かけした方が良いですね」などという場合があります。


、、、と、いうようなことをまとめたのがこの本ですね。


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